リハビリテーション科の役割
当院のリハビリテーション科は、急性期病院としての治療と並行して心身の機能低下を最小限にとどめ、残された機能を最大限に活かせる様に援助しています。医師、看護師、栄養士、医療連携室など多職種との情報交換、連携を行いながら、チームとして患者さんをサポートしています。
構成組織は、理学療法士17名・作業療法士7名・言語聴覚士4名となっており、医師からの指示のもとに理学療法、作業療法及び言語聴覚療法並びに摂食嚥下療法による治療を行っています。
構成組織は、理学療法士17名・作業療法士7名・言語聴覚士4名となっており、医師からの指示のもとに理学療法、作業療法及び言語聴覚療法並びに摂食嚥下療法による治療を行っています。
部門紹介
理学療法「PT:Physical Therapy」
手足の動きや、それに伴う痛みを改善し、関節可動域、筋力、麻痺を回復させる練習を通して、寝返り・起き上がり・起立・歩行といった基本動作の獲得を促します。更に、その動作を日常生活や社会活動に生かし、良好な状態を維持し続けられるように日常生活の援助・指導をしていきます。
~当院のリハビリテーション室~ | ~理学療法の様子:関節可動域訓練~ |
作業療法「OT:Occupational Therapy」
日常生活に支障を来している方に対し、日常生活動作(食事、排泄、入浴、整容、衣服の着脱等)や仕事、社会参加への回復を目的に、身体の機能回復訓練、高次脳機能訓練、日常生活動作訓練や家事動作訓練、生活環境の整備や自助具の紹介や指導を行い、退院後の生活に即した援助・指導を行っています。~作業療法の様子:ペグを使った上肢・手指の訓練~ |
言語療法「ST:Speech language hearing Therapy」
ことばによるコミュニケーションに問題がある方に対して相談や訓練、指導を行っています。また嚥下(えんげ:食べ物等を飲み込むこと)が低下した方に対しては評価に基づき機能訓練や食物形態の調整や、指導を行っています。更に当院では耳鼻咽喉科での各種聴覚検査にも関わっています。~言語療法の様子:絵カードを使った言語訓練~ |
対象疾患別紹介
<脳血管等リハビリテーション>
急性期脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血、頭部外傷など)などを対象にリハビリテーション(以下リハビリ)を実施しています。 脳卒中後遺症として、運動麻痺や感覚障害、失語症(言葉が出にくい)、注意障害(一つの事に集中できない)などの高次脳機能障害、嚥下機能障害(飲み込みづらさ)が挙げられます。これらに対して、歩行訓練や日常生活動作訓練(トイレ動作や着替え、食事など)、高次脳機能訓練、食物を飲み込むための嚥下訓練を実施し、自宅復帰・社会復帰を目指したプログラムを実施しています。<運動器リハビリテーション>
運動器とは骨・関節・筋肉・神経などの身体を支えたり動かしたりする組織・器官の総称です。運動器に関する主な疾患としては、骨折、変形性関節症、腰痛や痺れ、肩痛、スポーツ障害などがありますが、それらは仕事や日常生活、スポーツ動作を困難にし、私たちの生活の質(QOL)を低下させる大きな一因となるため、リハビリでは身体機能や生活、就労上の問題等の改善を図っていきます。また、手術前後の方に対しても早期から積極的に実施しています。退院時に自宅へ帰られる方に対しては、自主トレーニングや日常生活動作の指導、外来でのフォローも継続している方もいます。<呼吸器リハビリテーション>
病気や外傷によって呼吸器に障害が生じた方に対して可能な限り身体機能を回復、あるいは維持することによって症状を改善し、自己管理をしながら自立した日常や社会生活を送ることを目的としたリハビリを実施しています。また、ICU(集中治療室)等における急性呼吸不全や外科疾患の周術期呼吸管理の一環として、それに伴う二次障害予防や慢性呼吸不全などで在宅酸素(HOT)導入に伴う方に自主トレーニングや生活指導も実施するなど、幅広く対応しています。<心大血管リハビリテーション>
心臓リハビリは運動療法を主体として、患者教育・生活指導及びカウンセリングによる包括的なプログラムによって、身体的・精神的デコンディショニングの是正と早期の社会復帰を図ることと定義されています。当院では主に心疾患、大動脈疾患の方へ離床・社会復帰・再発予防を目的として実施しています。一人ひとりの身体状況に応じて運動療法・薬物療法・食事療法・生活習慣の改善を目的に医師を中心として、看護師・リハビリ・栄養士・社会福祉士など多くの医療スタッフがチームとして関わっています。<がんのリハビリテーション>
手術や化学療法、放射線治療などが始まる前、または実施された直後から開始し、治療に伴う合併症や後遺症などを予防するため実施しています。治療と並行して行うため、体調や症状の変化に合わせながら、機能障害や筋力・体力低下に対する運動療法や日常生活の具体的な方法などの支援、必要に応じて自宅の環境整備を行うことで、自分らしく生活するためのサポートを実施しています。また、痛みや病気に対する精神的ストレスがある場合は、気分転換や精神的なサポートが図れるよう支援しています。<廃用症候群リハビリテーション>
病気やケガなどの治療のため、長期間安静状態(寝たきり)を継続する事により、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす廃用症候群の進行は速く、運動器、循環・呼吸器、自律神経・精神障害を引き起こします。特に高齢者はその現象が顕著です。廃用症候群を発症すると運動器障害では主に「筋萎縮」「関節拘縮」「骨萎縮」など、循環・呼吸器障害では主に「誤嚥性肺炎」「心機能低下」「血栓塞栓症」など、自律神経・精神障害では主に「うつ状態」「せん妄」「見当識障害」などの症状を発症します。リハビリでは、体調管理に配慮しながら自らの意思で積極的に動く機会をつくり、早期から寝たきり予防と改善に関わっています。<小児のリハビリテーション>
子どもの発達をサポートし、保護者との関係を密に保つことも重要な分野です。NICU(新生児集中治療室)を中心に運動発達の遅れや苦手さのある方、小児麻痺や遺伝子疾患等で身体の動きに不自由のある方、呼吸などの生命を維持する機能が低下している方に対してリハビリテーションを実施しており、退院後も必要に応じて外来でフォローを実施しています。また、ことばの遅れに対するリハビリテーションも実施しています。<ICU(集中治療室)でのリハビリテーション>
多種多様な重症疾患がある方へ超急性期からのリハビリテーションを実施しています。主として脳血管疾患、運動器疾患、呼吸器疾患、心大血管疾患に対して、早期からの離床・合併症の予防などに努め、多職種と連携(チーム医療)してリスク管理に基づいた治療を並行しながら実施しています。<緩和ケア病棟のリハビリテーション>
体調を少しでも健やかに保ち、自分らしい療養生活を送っていただけるよう、個々に合ったリハビリを行っております。緩和的リハビリが中心ですが、自宅退院を目指したリハビリも行います。施設基準
脳血管障害等リハビリテーション(Ⅰ)運動器リハビリテーション(Ⅰ)
呼吸器リハビリテーション(Ⅰ)
心大血管リハビリテーション(Ⅰ)
廃用症候群リハビリテーション(Ⅰ)
がんリハビリテーション
リハビリテーションカンファレンス
~医師・看護師・栄養士・医療連携室・リハビリスタッフとのカンファレンスの様子~ |
職員の声 ~新人1年目を終えて~
理学療法士
新人1人に対して指導者が1人つきます。初めから患者さんを受け持つのではなく、一年目の4、5月は指導者の見学がメインになるので、その期間で知識はもちろんスケジュールの管理なども把握することができます。また、患者さんを受け持つのも、はじめは指導者が見ていて下さり色々指摘やアドバイスもくれるのでとても勉強になります。また、指導者以外のスタッフも快く相談を受けてくれるので、とてもリハビリ科内の環境はいいと思います。理学療法士
新人セラピストには、プリセプターの先輩が1対1で業務全体に関わること、治療についてのアドバイスなど、様々な面においてサポートをしてくださいます。また先輩方とディスカッションが出来る場面も設けてくださるため、治療だけでなく、他職種を含めたチームの中でどの様な関わりをすることが大切か教えてくださいます。先輩方は皆、相談しやすく心強いので、1人で困ったままという状況は殆ど無かったと覚えています。総合病院という環境において、ジェネナリストを目指し少しずつ経験を積んでいけると感じております。
その他
理学療法士:19名作業療法士:8名
言語聴覚士:4名
呼吸療法認定士:5名
心臓リハビリテーション指導士:2名
心不全療養指導士:2名
認知症ライフパートナー検定:2名
がんのリハビリ研修修了者:29名
認定理学療法士(脳卒中):1名
認定理学療法士(運動器):1名
入院患者リハビリテーションの診療科別オーダー割合(2023年度:2023年4月~2024年3月までの集計)
2023年度 実績 |